いつからか人と深く接する事が怖い

自分を知られて受け入れてもらえるかどうか不安になってしまうから

自分の人生が後ろめたいから

恥ずかしい生き方をしていることは自分が一番わかっている

過去は変えられないから虚勢を張って悟ったふりをする

仲良くなりたい気持ちは本物なのに

エーペックスレジェンズというゲームにハマった

敵を銃で撃って倒しまくるゲームだ

去年の4月(どうぶつの森Switchをリリースから約1ヶ月間ぶっ通しでプレイして速攻で飽きた後)からずっと、かれこれ10ヶ月プレイしている

エペをプレイしている人の中にはこの類のゲームは今までプレイしたことがなかったという人は多いと思うが、自分もその一人だった

最初こそ右も左も分からずひたすら敵にやられっぱなしだったが、少なくとも今はもう初心者プレイヤーではない

敵に撃ち勝つと嬉しくてその快感は病みつきになる

負けると悔しくて上手いプレイヤーが解説している動画を何本も深夜に見漁った

ニートは時間を実質無限に持っているため、本人の努力次第ではゲームの上達が最も早い人種である

寝ても覚めてもエーペックスの事は常に頭にあった

まじでこのモチベーションで仕事やったらきっと最強で最高の社会人、社会神(じん)になれるんだろうな、とか本当にクソみたいな妄想が頭をよぎった日もあるくらいだ

結局社会で神になる事は無いまま10ヶ月の月日は流れた

ど初心者から今は自分よりも前からプレイしている人にもたまに勝てるようになった

時間をかけるってすごいなと思った

そら勝てる

だって時間をかけた、時間は命そのもので命をかけたことに等しい

10ヶ月間の自らの命と引き換えにある真理に辿り着く

このゲームは敵からの被弾をなるべくしないようにしつつも、自分は敵に一方的にダメージを与える事が大切なのである

ダメージを受けたのなら回復をすれば良いのだが回復には時間がかかる仕様になっており、その間は隙だらけで無防備になってしまうし、何より敵と撃ち合うことが出来ないからだ

だからダメージをなるべく食らわないように敵と撃ち合う時にはゲーム内に存在するオブジェクトに隠れながら撃ったりするのが基本だ

そして敵から撃たれにくい場所(敵からの射線が通りにくい場所)は強ポジションと呼ばれる

自分が敵を撃てる時間というのは敵からしても自分を撃てる時間でありその駆け引きに勝つことでアドバンテージをとれる

だから食料品の買い物でショッピングモールにいる時も何も遮蔽物となるオブジェクトが無いところを歩く時はちょっとどきどきしていた

すれ違う老若男女のどこに敵が紛れ込んでいていつ撃ってくるかはわからないからだ

吹き抜け構造になっている2階から1階で歩いている人を見て、ここなら敵からの射線が通りにくくて撃ち放題だな、とか考えたりしていた

マスクをした髪伸び放題のニートが無表情でイオンを闊歩しながらこんな事を考えているのだから世間は本当に怖い

ーとにかく被弾するのは嫌だ

無意識のうちに刷り込まれていた

被弾をするのが嫌過ぎてゲームを起動するのをやめた日もある

撃って良いのは撃たれる覚悟のある者だけだからだ

 

二十歳前後の自分なら今よりもう少しだけましなふりをする余裕もあった気がする

誤魔化す気力すら残っていない

ひたすら自分が内側から黒ずんでいく感覚を覚えるので手一杯

コントローラーを握りしめて画面の中の敵と対峙している時は何かに心を侵されることはない

自意識を忘れさせてくれるもの

音楽でもアニメでも枯れるまでそれを摂取し続ける

案の定今日も一日が始まってしまっていた

悲しい事が頭の中に勝手に押し寄せてきて新しい一日はすぐに汚れて遠ざけるのが精一杯

今日も考えては空っぽの心を溶かす